認知症の治療について

薬を使う治療(薬物治療)

薬を上手く使うこと(薬物療法)で進行を緩やかにすることが期待できます。

アルツハイマー型認知症の治療では、
●症状の進行を遅らせるもの
●行動・心理症状(BPSD)をやわらげるもの
があり、患者さんの状態や生活の状況に応じて使い分けたり、組み合わせたりします。
医師と相談しながら、ご本人に合った治療を続けていくことが大切です。

薬の違いは?

症状の進行を遅らせるもの

アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる薬には、コリンエステラーゼ阻害薬、NMDA受容体拮抗薬、抗アミロイドβ抗体薬の3種類あり、それぞれ違った働きをします。

コリンエステラーゼ阻害薬神経伝達物質が減るのを抑え、情報の伝達をスムーズにする薬です。詳しく見る

NMDA受容体拮抗薬 過剰なカルシウムイオンの流入をブロックし、記憶の情報伝達を整えるとともに神経細胞を守る薬です。 詳しく見る

抗アミロイドβ抗体薬 原因たんぱく質であるアミロイドβを減らして、神経の働きを維持する薬です。 詳しく見る

行動・心理症状(BPSD)をやわらげるもの

BPSD(行動・心理症状)治療薬

神経伝達物質の働きを調整(ドパミンやセロトニンの受容体に結合)することで気持ちや行動のバランスを整える薬です。

コリンエステラーゼ阻害薬 アルツハイマー型認知症になると、脳の神経細胞の神経伝達物質(アセチルコリン)が少なくなります。神経伝達物質は、分解酵素(アセチルコリンエステラーゼ)によって分解されてしまうため、情報を伝達する機能が低下します。「コリンエステラーゼ阻害薬」は、分解酵素に結合し、その働きを阻害して、神経伝達物質が減るのを抑え、情報の伝達をスムーズにする薬です。 アルツハイマー型認知症 情報を伝達する物質(アセチルコリン)が分解されてしまう コリンエステラーゼ阻害薬の働き 伝達の邪魔をする分解酵素(アセチルコリンエステラーゼ)が働かないようにする

NMDA受容体拮抗薬 アルツハイマー型認知症では、神経伝達物質 (グルタミン酸)の受け手であるNMDA受容体の過度な活性化によって、カルシウムイオンが過剰に脳神経細胞に流入して、記憶の情報伝達が混乱するとともに、神経細胞が傷害を受けます。 「NMDA受容体拮抗薬」はNMDA受容体に結合して、過剰なカルシウムイオンの流入をブロックし、記憶の情報伝達を整えるとともに神経細胞を守る薬です。 アルツハイマー型認知症 NMDA受容体の過度な活性化によって、過剰な刺激が起こり、神経細胞が傷害される NMDA受容体拮抗薬の働き 過剰な刺激を抑えて神経細胞を保護する

抗アミロイドβ抗体薬 アルツハイマー型認知症になると、脳の中に「アミロイドβ」という不要なたんぱく質が少しずつたまることにより、神経の働きが弱まり、記憶などに影響が出ると考えられています。「抗アミロイドβ抗体薬」は、脳にたまる「アミロイドβ」を減らし、神経の働きを維持することで認知症の進行を緩やかにする薬で、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)や軽度の認知症で使用されます。 アルツハイマー型認知症 脳内に不要なアミロイドβがたまり、神経細胞に結合することで神経の働きを弱める → 抗アミロイドβ抗体薬の働き 不要なアミロイドβにくっつくことで、異物を除去する細胞のミクログリアがアミロイドβをとり除く ※イメージ図

認知症「いっしょがいいね」を支えるガイドブック(監修:横浜総合病院・横浜市認知症疾患医療センター センター長 長田 乾 先生)より

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